カウンセリング

日刊スポーツ新聞『誰にも聞けないセックス講座』2012年4月28日~5月3日5回分掲載

4月28日「無意識の怒りを抱えてませんか?」

セックス拒否には自分でも気づかない心の変化が関係しているという。

愛情があればセックスはお互いに自然なことです。しかし、付き合っていた当初とは違う、または期待と違うという思いを拒否する側が持ってしまった場合、その気持ちが「怒り」へと変わり、その怒りを感じる相手に対して身体が自然とセックスを拒否してしまうのです。

たとえば、付き合っていた当初、男性は女性の悩みを聞いて慰め、勇気づけるといったことを通じて無意識のうちに「自分が困っているときは彼女が慰めてくれるだろう」と思います。しかし、現実には仕事で大変なときに彼女は「私だって育児で忙しいのに!」と慰めてはくれない。一方、彼女のほうは、付き合っていた当初はやさしかった彼が「結婚をしてから全然やさしくない、手伝ってくれない!」と不満を募らせます。

知らないうちに深まる溝。この溝が、無意識のうちにセックス拒否どころかキス拒否にも発展していきます。

この解決策として、きちんと会話をするということが言えますが、ここで言う会話とは不満をぶつけることではなく、相手にどうしてほしいか伝える、ということです。これがセックスレスを解消する第一歩になります。

4月30日「もっと深く!」

子どもが生まれたことを機にセックスレスに陥る場合もあります。

この状況を変えるため、どちらかが積極的に「手をつなごう!」「キスしよう!」とアプローチすると相手はますます態度を硬化。2人の関係をよりギクシャクとしたものにしてしまうこともあります。

「愛情はあるけどセックスはしたくない」という言葉もよく言われますが、本当に仲がよくて健康であればセックスは自然な行為なのでこの場合は言葉だけで心からの愛情はない、ということになります。しかし、このことは本人が自覚していない無意識であることがほとんどなので、そのことをまず理解することから始めてみるといいと思います。

このようなご夫婦はご本人同士が会話をしていると思っていても、話の内容を聞くと一般論的な会話がほとんどで付き合っていた当初のように自分の気持ちを素直に話してはいないようです。たとえいつも文句をいう間柄であっても、そこには本音がありますからお互いをある程度理解できていると考えられます。

当時を思い出して今の相手に対する気持ちと照らし合わせてみてください。そのずれているところを「会話」で埋めていくこができれば自然とセックスレスが解消されるでしょう。

5月1日「相手の事を聞く」

会話が充実していてもセックスレスの場合があります。

たとえば、

①第三者の会話が多い

会社や友人、近所のことなど自分たちのことを全く話さないで第三者のことばかり話します。結果、お互いの気持ちは「あうん」の呼吸で理解するしかなく、不満は解消されません。

②業務日誌のような会話

「今日は何があった」と事実のみ話します。それに対する相手のあいづちも「そうなの」「大変ね」など短いセンテンスのみ。もしくは「こうすればよかったんじゃないの」と批判の言葉をかけたりします。

③子どもを仲介にした会話

子どもに話しかけることによってあたかも夫婦で会話しているような気になる、というもの。子どもに向かって妻が「今日は公園に行ったのよね」と言うと夫は「楽しかった?」と子どもに尋ね、妻は「楽しかったわよね」と子どもに向かって尋ねる。

気づかないうちにこれらが会話のすべてになりセックスレスに突入。しかし原因がわからないので長年にわたって悩まれる方も多いようです。

いつからか親友と話すような深い話をしていない、と気づいたら要注意です。どうしていいのかわからない場合はカウンセラーなどの専門の力を借りるのもいいでしょう。

5月2日「「浮気は事実」でも威嚇はNG」

浮気がわかったとき、その後の対応次第で相手が浮気を繰り返すか自分のところに戻ってくるかが決まることもあります。

妻に浮気がばれた40代のAさんは携帯のGPS機能で居場所を監視されるようになりました。はじめは自分が悪いのだからとそれに従っていましたが、居場所がわからないとすぐに妻から電話。「新しいスーツを買いたい」というと「また浮気ね!」とことあるごとに浮気の話を蒸し返され、ついに我慢の限界が。そこまで疑われるならと出張先で浮気を繰り返すようになり、いまでは離婚したいと考えるように。

「もうしません」という念書を書かせたり友人と一緒に責めるという行動は相手に対し「威嚇」に他なりません。「恐妻」もまたしかり。威嚇されたら心を閉ざし、納得しなければ相手に対し嫌悪感を抱きます。そうなるとセックスどころか近づきたくないという気持ちにさえさせるのです。

必要なのは相手を威嚇することではなくよく話し合い、互いに問題を解決しようという気持ちを一致させること。相手の気持ちを自分に振り向かせるにはイソップ物語の『北風と太陽』のようにポカポカと相手の閉じてしまった心を自ずから開いてくれるような環境づくりがポイントです。

5月3日「プレゼントしても喜ばれない」

心の距離を縮めるためのプレゼント。しかし、時として失敗に終わることがあります。

40代のBさんは「記念日に花を送るなんて恥ずかしい。妻には花より団子だ」と友人に勧められた「ご飯の友」をプレゼント。はじめ嬉しそうにしていた奥様はプレゼントの中身を知って一気に冷めた顔つきに。「あなたが食べたかったんでしょ」とそっけない反応しかしてくれませんでした。

相手の喜ぶ顔が見たい=自分が喜ぶものをプレゼントしようと思うのは陥りやすい勘違い。本当に相手が望んでいることは何か。それは日ごろ会話を重ね、深い信頼関係を築けていればわかることです。

結婚を機に信頼関係を築くことをさぼった結果、それに比例するようにセックスレスに。ムードを出せばなんとかなる、と考えて贈ったプレゼント作戦も失敗。もし、お二人の間に信頼関係があればたとえプレゼント選びに失敗したとしても「わざわざ買ってきてくれた。その気持ちが嬉しいわ」という結果になったかもしれません。

付き合い始めたころとは変化していくお二人の関係。それが理想と異なる場合もあるかもしれません。そのズレを会話を重ねることで修正できれば自然とセックスレス解消につながっていくでしょう。